2005年 02月 20日
僕らheavenとも関わりの深いバンド、Gashがサイトで解散を表明しました。ここしばらく活動休止状態にあったので、どこか納得のいくものもあり、「そうか……」と事実を静かに受け止めているところです。 ボーカルのアニ(石塚貴洋氏)には、heavenで2003年と2004年の初夏、2回アコースティックライブをやってもらいました。また、2004年6月18日にはGashの誘いで、Queでheavenと合同でオールナイトのイベントをやりました(右はそのフライヤー)。僕は個人でもDJで呼ばれる機会があって、去年の10月24日、Queでのワンマンライブの時もオープニングDJをやりました。そして、あの日が僕がGashの演奏を生で見た、最後の日になりました。 heavenでは、「Trash」発売時から「Big-B」がよく回されてて、一時期は定番曲となっていたんですが、Gashはそれとは関係なく進化を続けていて、最近の楽曲を聴くと「Trash」からは遠くに来たな、という思いがありました。 去年出た「警報」という曲が好きなんですよ。アニの詞は独特の世界を持っていて、じっくり聴かずにはいられないんですが、この曲は特にそれが濃厚で、思わず歌詞カードを見ながらCDを聴きたくなりました(普段そんなこと、ほとんどやったことない)。 歌の歌詞にはだいたいにおいて物語が盛り込まれていて、そこに登場する人物の思いが、言葉になっていると思うんです。もちろん「警報」もそうなんですけど、人の姿がスッと消えて、誰かの思いだけが無人の風景に漂っているような、そんなイメージを僕は持っていました。でも、決して無機質な感触ではなく、そこには確実に人の息吹があるのです。 アニの生み出す単語の繋がりは、一見バラバラなようで、実はしっかりとした土台がある。それが、単にイメージの羅列だけで歌詞を作っている人たちと大きく違うところだと思います。抽象的なことを歌いながらも具体的な情景が投影されているし、単にかっこよさを求めているのではなく、そこには切実な思いが含められている。そして最近は、アニの言葉の力は、技術的にも相当研ぎ澄まされて、かなり強力になってきているのでは、と思っていました。 だけどそれが袋小路を作り出してしまうこともある。かなり勝手なことを言ってますが、ロックバンドとしてかっこいいショーを見せるのと、自分の姿を消し去って思いだけを届けようとする歌(というか言葉)には、とてつもない距離があると思うんです。Gashは何を表現しているんだろう? と。目の前で彼らのパフォーマンスを見ながら、思ったこともありました。いや、Gashはメロディも好きだし、アレンジも演奏もグッと来るんですよ。バンドのライブとして見れば、相当楽しいし、体も動くんです。でも、出口を求めて探しきれないようなもどかしさがどこかにあって、それこそがGashのパフォーマンスの全てのような気もしてきて。マジでGashの演奏を聴いてると、「ここにいていいのか?」と思わされるんです。自分もバンドも他の客も全員。「もっと自分の感情を素直に見つめれば、ここにいるのは違うだろ」と。そんな気持ちにさせられてしまうということは、Gashの音楽は、表現としてはすごいと思うんです。でも「盛り上がろう」「イェー」みたいな構造には、絶対になじまない。言ってみれば、表現者と鑑賞者が1対1なんです。そして、目に見えることの裏側まで伝えようとしている。まるで絵画です。バンドとしてこんな表現をやっていくのは、ものすごく大変なのではないか、と。 バンド内でどんなことが話し合われたかも知らないし、僕は音楽にはシロウトなので、今まで書いてきたことは全然的を射ていないかもしれません。でも、Gashがなくなったことから喚起される感情は人それぞれ違うから、他のみんなの悲しみめいたことを想像しても仕方がない。僕にとってのGashの解散は、こういう意味だということです。 Gashの音が聴けなくなるのは、正直さびしいです。でも、来るべき時が来たら、そこで足踏みしていても始まらない、という思いがある。 アニは突破した。僕はどうすべぇかな〜。(suzuki)
by clubheaven
| 2005-02-20 13:40
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